2010年4月24日土曜日

Global MBA的: MBAプログラムの供給過剰を考える(MBAの価値が下がらないように)

4/24/2010(Sat) Global MBA@ThunderbirdMBAを活かせ

先日、ちょっと気になる記事を目にしました。

東洋経済のHPに載っていた記事です。「国内MBAの光と影――不況で志願者が増えるが、質低下の懸念も」不況になると、MBAの出願率はグンと高まることは国内外でもよく知られていますが、今人気なのは「かつてのような企業派遣の留学が盛んなわけではない。熱い視線を浴びるのは、国内で働きながら平日の夜間と週末に大学院に通う「パートタイムMBA」だ。」らしいです。そんな中、今起きているのは、プログラムの供給過多のようです。増え続ける学生に対し、供給側もどんどん増えていて、供給側がいつしか志願者を越えてしまいました。ただでさえ、少子化の原因もあってか、大学・院の学生数が減ってきている中、ここまで供給側が頑張って増やすとどうなるのか・・・。其の内、定員割れを防ぐ為にも色々な策を使った学生を増やそうとしますよね。そうなるとどうなるか?一概にそうだとは決め付けられませんが、今までの合格基準を少し下げてでも、学生を受け入れる学校もでてくるかもしれません。そうしないと、レベルが高すぎて入れない志願者が沢山いるからです。しかし、それを続けていると少しずつMBA卒業生のレベル自体が下がってくる、ということにもつながりかねません。分かり易く、感覚的な説明をしますと、例えば、統計的にMBA生になる人は、ビジネスにおいて80点以上の成果(成績)を出していたとします。MBA取得後、そのレベルが平均的に90点以上になったとします。いい結果ですよね。でも、入学基準のレベルを下げてしまうと、これも例え話ですが、60点以上のビジネスマンを受け入れ、卒業後は、75点位まで引きあがったとします。これもいい結果ですよね。ただ、私の理解では、今までのMBA(ビジネススクール)というのは前者の例え話に近いんじゃないかなぁと思います。前者の想いで入学したにも関わらず、後者と同じであれば、MBAという価値が少しずつ下がってきてしまいます。誰でも取れてしまうというのでは、正直あまり意味がないと思います。それは、「経営学部」でもいいのではないでしょうかね。どうしても、「MBA」「MBA」というブランドだけが先行して先走ってしまい、イメージだけでなく、実際のレベルを下げてしまいかねないと思います。

実際には、2通りの想いを持ったMBA生やアプリカントがいると思います真剣にビジネスの課題について解決したい、更に経営を深く掘り下げたい、日本の経済を立ち直らせたい、企業再生に全力で打ち込みたい、、、というMBAを取得する、経営知識体型を理解することがどれだけ重要かを理解していて、その力を存分に活用したい人。そして、もう1つは(失礼な言い方ですが)深くは考えていないけれど、ブームだから、将来の就職/転職には有利だから、、、不況だから何となく、、、という考え方です。後者が間違っているとは言いません。人にはそれぞれ考え方がありますからね。ただ、私が感じるには、この後者の方が少しずつ増えてきていて、本当のMBAの価値が磨り減っているようなのです。

誤解してほしくないのは、私は国内のMBA生や卒業生のレベルが低いということは一切申し上げていませんし、今後も、皆さんのレベルが低いと申し上げているわけではありません。現に私の会社の中にも現在知っているだけで4,5名の仲間が国内のMBA生として勉強しています。皆超優秀です。決して彼らのレベルが低いとは想っていません。但し、供給過多になってしまうと、外的要因により、周りから、、メディアからはそう見えられてしまうこともありうる、ということです。

ただ競争社会、資本社会の中ではそれも実はあってもおかしくないと思います。グローバル規模MBA市場を見てみましょう。名門校を始め、聞いたことのない怪しいMBAもあります。ランキング、専門校、格付け、教授陣、スタイルによって様々な学校があります。私が通っていた米国にあるThunderbird School of Global Managementも総合ランキングでは決して上位に入るビジネススクールではありません。しかし、グローバルビジネスでの評価では連続してNo1の評価を得てきました。総合力ではなく、専門性での勝負をしているのです。そうやって、強みや専門性を活かしたビジネススクールがでてきたり、消えていったり、、、するわけです。そして、ビジネスと同じように弱いところは淘汰されていきます。努力して改善して、更に強くなるビジネススクールは生き残ります。日本国内でもそのような動きがあっても悪くはないかもしれませんね。是非、MBAの価値を下げることなく、逆に改善してより価値を進化させるようなMBAへとビジネススクールにはリードしてほしいものです。一方、MBA志願者や現役学生に対しては、是非個人のキャリアの為だけでなく、可能であればもう少しスケールの大きい未来の日本の成長や成功をもイメージして質の高い学習をしてほしいと切に願います。特にMBAを取得するくらいなので、自分のためだけでなく、会社を代表して、、、日本を代表して、、、というスケールで考えてほしいくらいですね。頑張って下さい!

参考情報:
MBAを中心とした求人市場の変化(AXIOM社サイトより)
http://www.axiom.co.jp/mba/careerdesign/cdn001_1.html 




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